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『コレたんへの片想い』#コレコレファンタジー

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『コレたんへの片想い』

春風が桜の花びらを舞わせる4月、高校2年生になった美咲は、新しい教室に向かう途中で、スマートフォンを握りしめていた。画面には、人気配信者コレコレの最新動画が表示されている。

「はぁ~~っw 本当にしょーもないなっ」

「大丈夫!俺にすべてを任せろ」

美咲は耳元で囁くようなコレコレの声に、頬を赤らめながら学校へ向かった。

美咲がコレコレのファンになったのは、中学3年生の冬のことだった。受験勉強に疲れ果てていた彼女は、ある日YouTubeを何気なく見ていたときに、コレコレの動画に出会った。その流ちょうな話し方と、視聴者の悩みに真摯に向き合う姿勢に、美咲は一目惚れしてしまった。

それ以来、美咲の日課は、朝はコレコレの動画を見ながら通学し、夜は彼のライブ配信を欠かさず視聴すること。コレコレの声を聴いていると、どんな悩みも吹き飛んでしまうような気がした。

教室に入ると、親友の花子が手を振って迎えてくれた。

「おはよう、美咲!今日もコレコレさんの動画?」

美咲は少し恥ずかしそうに頷いた。「うん。今日は視聴者からの相談に答える回だったんだ。相変わらず優しくて、でも的確なアドバイスで…」

花子は苦笑いしながら言った。「まったく、美咲はコレコレさんのことになると止まらないね。でも、ネットの向こう側の人を好きになるのって、ちょっと心配だよ」

美咲は少し考え込んだ後、静かに答えた。「わかってる。でも、コレたんの声を聴いてると、本当に心が落ち着くんだ。私にとって、特別な存在なの」

授業が始まり、美咲は教科書を開いた。しかし、頭の中はコレコレのことでいっぱいだった。「今頃、コレたんは何をしているのかな…」

放課後、美咲は図書館で宿題を済ませてから、急いで家に帰った。今夜はコレコレの生配信の日だったからだ。

「ただいま」と言いながら部屋に駆け込むと、すぐにパソコンの電源を入れた。時計を見ると、配信開始まであと4時間。美咲は心臓の鼓動が早くなるのを感じた。

「はいどうも、コレコレです!」画面に映し出されたコレコレの姿に、美咲は思わず微笑んだ。いつものように鼻マスクをつけ、優しい目をしている。

「今日は皆さんからの恋愛相談に乗っていきたいと思います!」

美咲は息を呑んだ。恋愛相談…。彼女の頭の中で、一つの考えが浮かんだ。

「私も…相談してみようかな…」震える指で、美咲はスーパーチャットを送信した。

「コレたんへ。好きな人がいるんですが、その人は私のことを知りません。それでも、毎日その人の声を聴いて元気をもらっています。こんな気持ち、伝えるべきでしょうか?」

送信ボタンを押した瞬間、美咲は自分がしたことに気づき、顔を真っ赤にした。でも後悔はなかった。むしろ、少しスッキリした気分だった。

「次の質問です。『コレたんへ。好きな人がいるんですが…』」

コレコレが美咲の質問を読み上げ始めたとき、彼女は思わず息を止めた。

「なるほど、難しい質問ですね」コレコレは少し考え込んだ後、優しく微笑んだ。「でも、その気持ちはとても素敵だと思います。相手のことを想い、その人の声で元気をもらえるなんて、それだけでも素晴らしいことじゃないでしょうか」

美咲は、まるで直接語りかけられているような気がして、胸が高鳴った。

コレコレは続けた。「ただ、相手が自分のことを知らないという状況で、その気持ちを伝えるのは難しいかもしれません。でも、その気持ちを大切にしながら、自分自身も成長していくことが大切だと思います。いつか、その気持ちを伝えられる日が来るかもしれません。それまで、自分を磨き続けてください」

美咲は、コレコレの言葉に涙が溢れそうになった。

「ありがとう、コレたん…」

その夜、美咲は久しぶりに日記を書いた。

『今日、コレたんに気持ちを伝えられた気がする。直接会ったわけじゃないけど、私の気持ちが少しだけ届いたような気がした。コレたんの言うとおり、この気持ちを大切にしながら、自分も成長していきたい。いつか本当に会える日まで、頑張ろう』

翌日の学校で、花子は美咲の様子が少し変わったことに気づいた。

「どうしたの?なんだかすっきりして悩みがすこし晴れたみたい」

美咲は少し照れくさそうに笑った。「うん、ちょっといいことがあったんだ。花子、私ね、決めたの」

「何を?」

「コレたんみたいな、人の気持ちに寄り添える人になりたいって。だから、もっと勉強して、大学では心理学を学びたいんだ」

花子は驚いた様子で美咲を見つめた。「へぇ、急に具体的な目標ができたんだね。すごいじゃん!」

美咲は頷いた。「うん。コレたんのおかげで、自分の将来のことをちゃんと考えられるようになったんだ。だから、これからはもっと頑張るつもり!」

それから数ヶ月が過ぎ、美咲は本当に変わり始めた。勉強に打ち込むだけでなく、学校の生徒会にも立候補した。クラスメイトの悩みを聞き、アドバイスをする中で、美咲は人の気持ちを理解することの難しさと喜びを学んでいった。

ある日の放課後、美咲は図書館で心理学の本を読んでいた。そこへ花子がやってきた。

「ねえ、美咲。コレたんのサイン会があるんだって。行ってみない?」

美咲は驚いて顔を上げた。

「え?本当?」花子は頷いた。

「うん。来月、隣町であるみたい。美咲にとっては、まさに念願のチャンスじゃない?」

美咲は心臓が早鐘を打つのを感じた。コレたんに会える…。そう思うと、嬉しさと不安が入り混じった複雑な感情が湧き上がってきた。

「どうしよう…。会いたいけど…」

花子は優しく微笑んだ。「大丈夫だよ。私も一緒に行ってあげる。せっかくのチャンスなんだから」

美咲は深呼吸をして、決心した。「うん、行こう。コレたんに、直接お礼が言いたい」

サイン会当日、美咲は緊張で手が震えていた。長い列に並びながら、何を話そうか考えていた。

「次の方どうぞ」

スタッフの声に、美咲は我に返った。目の前には、テレビやパソコンの画面でしか見たことのなかったコレコレがいた。

「こ、こんにちは…」

美咲の声は震えていた。コレコレは優しく微笑んだ。

「こんにちは。ありがとうございます」

美咲は勇気を振り絞って言った。「いつも…いつも元気をもらっています。コレたんのおかげで、私、将来の夢ができました。心理学を勉強して、コレたんみたいに人の気持ちに寄り添える人になりたいんです」

コレコレは少し驚いたような、でも嬉しそうな表情を浮かべた。「そうですか。それは素晴らしいですね。頑張ってください」

「はい!ありがとうございます!」

サインをもらい、握手を交わした後、美咲はふらふらと列を離れた。花子が待っている場所に戻ると、涙があふれ出した。

「美咲…大丈夫?」美咲は涙ながらに笑顔を見せた。

「うん。すごく…すごく幸せ。コレたんは、想像以上に優しかった」

その日の夜、美咲は再び日記を開いた。

『今日、コレたんに会えた。夢みたいだった。でも、会えて本当によかった。コレたんへの気持ちは変わらない。でも、もう少し違う形になったかもしれない。憧れの人で、目標で、そして…背中を押してくれる人。これからも、コレたんの配信は見続けると思う。でも、それと同時に、自分の道も歩んでいく。いつか、コレたんに「頑張りました」って胸を張って報告できる日まで』

美咲はペンを置き、窓の外を見上げた。夜空に輝く星々が、これからの彼女の人生を見守っているようだった。コレコレへの想いは、彼女の中で温かく、そして力強く生き続けていた。それは、憧れや恋心を超えた、彼女を成長させる大切な感情になったのだ。

この作品はフィクションであり、実在する、人物・地名・団体とは一切関係ありません。

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